杉本真維子

SUGIMOTO MAIKO

詩 Poetry

「狂い栗」(『裾花』思潮社)

弓なりに、顎をはずすほど惨めな

爆笑が、夜の手振りにはなぜ付着するのか

店の出入り口で

おい、という怒声に振り向き

ある日、狂い栗を持って走るような影を見た

あきらかに違う、窃盗の走り方を、

はやく、わたしにください

「狂い栗」より

杉本真維子による、トポスでの「狂い栗」の朗読(土地への記憶化)

2021年11月13日(土) 18:12〜18:14

Longitude: 139° 42' 29.538" E Latitude: 35° 42' 3.3" N

大久保２丁目交差点

 
 
 
 

杉本真維子 SUGIMOTO MAIKO

詩人。1973年、長野県生まれ。学習院大学文学部哲学科卒業。2002年、第40回現代詩手帖賞。詩集に『点火期』（思潮社）、『袖口の動物』（思潮社、第58回H氏賞、第13回信毎選賞）、『裾花』（思潮社、第45回高見順賞）、詩画集に『E』（絵／樋口佳絵、桜華書林）などがある。栃木県宇都宮市の宇都宮アート＆スポーツ専門学校文芸創作科で現代詩研究の講師を務めている。批評や散文も手がけ、近著に初の散文集『三日間の石』(響文社)がある。